一級建築士の受験資格をチェック!この経験って実務経験になる?

一級建築士の試験を受ける前に必ず確認してほしいのが受験資格です。特に、「自分の実務経験内容や経験年数が、受験資格を満たしているのか」を注意深くチェックしておきましょう。この記事では、一級建築士の受験資格や、受験資格を満たすために必要な実務経験の内容についてお伝えしていきます。試験のスケジュールや申し込み方法なども簡単に紹介していくので、是非参考にして下さい。



目次


1.一級建築士の受験資格は、大きく分けて2パターンあります。


2.一級建築士の受験資格に必要な実務経験ってなに?


3.一級建築士 受験資格を得るための方法


4.一級建築士の試験スケジュール


5.一級建築士の試験概要(試験範囲・試験時間・試験の難易度)


6.受験申し込み方法は早めに確認しておきましょう!


 

1.一級建築士の受験資格は、大きく分けて2パターンあります。

まずは一級建築士の基本的な受験資格について見ていきましょう。一級建築士の試験を受験する方は、下記の表のいずれかの条件をクリアしなければなりません。受験資格を得るには、必ず建築の実務経験が必須となっています。


【一級建築士の受験資格】

建築に関する学歴又は資格等建築実務の経験年数
大学(旧制大学を含む)において、
指定科目を修めて卒業した者
卒業後2年以上
3年制短期大学(夜間部を除く)において、
指定科目を修めて卒業した者
卒業後3年以上
2年制短期大学又は高等専門学校において、
指定科目を修めて卒業した者
卒業後4年以上
二級建築士※1 二級建築士として4年以上
その他国土交通大臣が特に認める者 建築設備士
(平成20年国土交通省告示第745号ほか)
※2 建築設備士として4年以上
所定の年数以上

※1 二級建築士としての実務経験年数は、二級建築士免許証に記載のある登録年月日から4年以上となります。
※2 建築設備士としての実務経験年数は、合格(受講)証書に記載のある合格(修了)年月日から4年以上となります。
(建築技術普及センターHPにより)


上記の表を要約すると、一級建築士の受験資格は「学歴+実務経験」と「資格+実務経験」の2パターンに分けることができます。

【学歴+実務経験】

◎4年制大学(指定科目を修めて)卒業+2年以上の建築実務経験
◎3年制短期大学(指定科目を修めて)卒業++3年以上の建築実務経験
◎2年制短期大学・高等専門学校(指定科目を修めて)卒業+4年以上の建築実務経験


【資格+実務経験】

◎二級建築士+4年以上の建築実務経験
◎建築設備士+4年以上の建築実務経験


「学歴+実務経験」のパターンで試験を申し込もうと思っている方は、必要提出書類として「指定科目修得単位証明書」や「卒業証明書」を提出しなければなりません。学校を卒業したときに取得した単位数によって、受験資格を得るために必要な経験年数が異なるので、受験の申し込みをする前に必ず卒業した学校に問い合わせてみましょう。

※ 指定科目を修めるため必要な単位数は、建築技術普及センターHPの「指定科目の分類必要単位数」ページで確認できます。


「資格+実務経験」のパターンで試験を申し込もうと思っている方は、「二級建築士免許証の写し」や「建築設備士試験合格証書の写し」が必要になるので必ず準備しておきましょう。受験資格の区分ごとによって受験申し込みに必要な書類が異なるので、詳しくは、建築技術普及センターHP の「初めて受験申込を行う際に必要な書類について」をご確認ください。


 

2.一級建築士の受験資格に必要な実務経験ってなに?

「一級建築士の試験を受験するには、どんな実務経験を積めばいいんだろう?」「自分の経験が、一級建築士の受験資格に該当しているのか知りたい!」そう悩んでいる方もきっと多いのではないでしょうか。ここでは一級建築士の受験資格を満たせる実務経験の内容についてお伝えしていきたいと思います。既に一級建築士の受験を決めている方も、再度確認するつもりで是非参考にして下さい


■2-1.受験資格を満たせる、4つの基本的な実務経験

2018年時点で、一級建築士の受験資格を満たせる実務経験として認められているものには、大きく分けて下記4つがあります。

(1)建築物の設計に関する実務経験
例)空調・換気設備、給排水設備、電気設備、その他設計/プラント関係(建築物に係る業務に限る)の設計など

(2)建築物の工事監理に関する実務経験

(3)築工事の指導監督に関する実務経験

(4)次に揚げる工事の施工の技術上の管理に関する実務
建築一式工事 大工工事 建築設備の設置工事

※ 具体的に知りたい方は建築技術教育普及センターHP『『実務経験要件』をご覧ください。


受験資格を満たすには、建築士の仕事内容である設計・工事監理の業務に携わった経験を積むのが一番確実だと思います。またそれらの経験は、設計事務所や建設会社、ハウスメーカーや工務店などに勤務し、所定の経験年数を積むのが良いでしょう。


※こんな経験は実務経験として認められないので注意してください※
◎単なる建築労務者としての実務(土木・設計事務所で写図のみに従事していた場合)
◎単なる庶務・会計などの業務
◎住宅の営業経験など

 

■2-2.実務経験に関するQ&A

「この経験って実務経験に該当されますか?」といった、よく聞かれる質問にお答えしていきたいと思います。

Q.現場での職人としての経験は実務経験になりますか?
A.職人としての経験は『単なる建築労務者としての実務』にあてはまるので、実務経験にはなりません。


Q.施工管理の経験は実務経験になりますか?
A.建築一式工事、大工工事、建築設備の設置工事の施工管理であれば実務経験にあてはまります。


Q.普通科の高校を卒業後、設計事務所に勤めて5年になります。現時点で一級建築士の受験資格はありますか?
A.現時点では一級建築士の受験資格はありません。普通科の高校を卒業した場合、二級建築士の資格を取得する為に7年以上の実務経験が必要です。まずは二級建築士の資格を取る為にあと2年の実務経験を積みましょう。その後、二級建築士として実務経験を4年以上積めば、一級建築士の受験資格を得ることが出来ます。


Q.現在、大学院の建築コースに通っているのですが、インターンシップは実務経験としてカウントされますか?
A.結論としてインターンシップは実務経験としてカウントされます。ただし、実務経験として認定を受けている科目である必要があります。インターンシップの経験が、何年分の実務経験になるかは習得した単位数によって異なるのでご注意ください。受験申し込みをする際は大学院が発行する「建築士試験の大学院における実務経験に係る修得単位証明書」を受験申込書に添付して提出しなければなりません。大学院における実務経験については、建築技術普及センターHPの「実務経験要件の単位となるインターンシップを実施する大学院」のページをご確認ください。


 

■2-3.建築士法の改正(H20.11.28)で変更された受験資格

建築士の受験資格は、平成20年11月28日の建築士法の改正に伴い、受験資格における「学歴要件」と「実務経験要件」が変更されました。「学歴要件」は学校の入学年が「平成21年度以降の者」と「平成20年度以前の者」とでは要件が異なり、「実務経験要件」は「平成20年11月28日から」と「平成20年11月27日まで」とでは要件が異なります。


学校の入学年が「平成20年度以前の者」の受験資格は建築技術普及センターHPでご確認ください。参考までに、平成30年度時点で、古い受験資格に該当しそうな年齢が一目でわかる年表を作成してみました。(※ 今回は大学に入学した時の入学年を年表にしてまとめてみました。短大・専門学校などの場合は入学年度が違ってきますので注意してください。)

<表の見方の例>
◎平成30年度時点で28歳の人が大学に入学したのは、9年前の平成21年なので、建築士法改正後の受験資格が適用される。
◎平成30年度時点で29歳の人が大学に入学したのは、10年前の平成20年なので、建築士法改正前の受験資格が適用される。

※ 建築士法の改正が行われた平成20年度前後の入学者の方で、「どちらの受験資格に適用されるか分からない」と心配な方は、 建築士試験を運営している建築技術普及センターに問い合わせてみてください。


【平成30年度時点】



また実務経験の内容についても、「平成20年11月28日から」と「平成20年11月27日まで」とでは要件が異なります。詳しくは建築技術教育普及センター『実務経験に該当する例(新旧対照表)』をご覧ください。



==建築士受験資格についてのプチ情報==

平成30年6月5日に、日本建築士連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の3団体が、「建築士資格制度の改善に関する共同提案」を提出しました。建築士法で改正された、建築士試験の受験資格の厳格化を緩和することを目的としているようです。この提案が認められ本格化されていけば今後、実務経験の適用範囲が広がったり、試験内容が変わったりして、今よりも受験資格が緩くなることが予想されるでしょう。20代の若い世代にとっては、今よりも一級建築士の資格に挑戦しやすくなるかもしれませんね!

※参考記事 : 建築士試験を見直せ、設計3団体が共同提案 | 日経 xTECHより


一建築士の受験資格についてご不明な点や最新情報を確認したい場合は、試験を運営している建築技術教育普及センターもしくは各都道府県建築士会にお問い合わせ下さい。


【問い合わせ先】
建築技術教育普及センター 本部

TEL03-6261-3310

公益財団法人 建築技術教育普及センター本部・各支部

各都道府県建築士会

 

3.一級建築士 受験資格を得るための方法

続いては、一級建築士の受験資格を得るための方法と手順について、下記の画像を見ながら説明していきます。


この画像は、高校を卒業した時点から一級建築士の受験資格を得られるまでのルートをまとめたものです。


<高校卒業後、大学や短大・専門学校へ進学する道を選んだ場合>

進学する教育機関によって、勉強する期間や後に必要となる実務経験年数が異なります。

4年制大学+実務経験2年以上 = 合計6年
3年制短大+実務経験3年以上 = 合計6年
2年制短大+実務経験4年以上 = 合計6年
高等専門学校(2年)+実務経験4年以上 = 合計6年


どの教育機関に進学しても、一級建築士の受験資格を得るまでにかかる年数は上記のように変わりません。その為18歳で高校を卒業した場合、一級建築士の受験資格を得られる年齢は最短で24歳・25歳頃になると言えます。



<高校卒業後、就職する道を選んだ場合>

就職する道を選んだ場合は、まずは二級建築士の資格を取得するために実務経験を積まなければなりません。

高校の普通科などを卒業した方でしたら7年以上高校の(指定学科のある)建築科を卒業した方でしたら3年以上の実務経験が必要です。所定の実務経験を積んだ後に二級建築士を取得し、その後二級建築士として4年以上の実務経験を積んで、初めて一級建築士の受験資格を得ることが出来ます。就職を選んだ場合に一級建築士の受験資格を得られる年齢は下記のようになりそうです。


◎高校の普通科を卒業(18歳)⇒実務経験7年以上(25歳・26歳)⇒
二級建築士試験・資格取得+実務経験4年以上⇒一級建築士試験・取得(29歳・30歳頃)


◎高校の(指定科目のある)建築科を卒業⇒実務経験3年以上(21歳・22歳)⇒
二級建築士試験・資格取得+実務経験4年以上⇒一級建築士試験・取得(25歳・26歳頃)


 

4.一級建築士の試験スケジュール

一級建築士の試験は年に1回各都道府県で実施されています。例年、受験申し込みの受付が開始されるのは4月頃で、「学科の試験」が7月「設計製図の試験」が10月に行われています。H30年度の試験日程を例にすると下記のようなスケジュールです。


▽H30年度の一級建築士 試験日程
【受験申し込み】
郵送による受付:4月16日(月)~5月1日(火)
受付場所による受付:5月10日(木)~5月14日(月)
インターネットによる受付:4月9日(月)~4月16日(月) ※初めて受験する方はインターネットからの申し込みは出来ません。

【受験票の発送】 6月29日(金) 頃
【学科の試験の実施】 7月22日(日)/合格発表 : 9月4日(火)
【設計製図の試験の実施】 10月14日(日)/合格発表 : 12月20日(木)予定

※注 :実際のスケジュールや申し込み期限、その他関連する情報は、毎年公表される内容を必ずご確認ください。


 

5.一級建築士の試験概要(試験範囲・試験時間・試験の難易度)

ここでは一級建築士の試験概要として、試験範囲・試験時間・試験の難易度についてお伝えしていきます。


▽一級建築士の試験概要
一級建築士の試験は「学科の試験」と「設計製図の試験」の2種類があり、両方の試験に受かって初めて資格を得ることが出来ます。 なお、学科の試験を合格しないと設計製図の試験は受験する事が出来ません。また「学科は合格したけれど設計製図は不合格だった」という方は、向こう2年間の学科の試験が免除されます。そのため翌年と翌々年の試験は、設計製図の試験のみを受験すればOKです。


一級建築士の試験範囲と試験時間は下記の表でご確認ください。

試験の区分出題形式出題科目出題数試験時間
学科の試験四肢択一式学科Ⅰ(計画)20問計2時間
学科Ⅱ(環境・設備)20問
学科Ⅲ(法規)30問1時間45分
学科Ⅳ(構造)30問計2時間45分
学科Ⅴ(施工)25問
設計製図の試験あらかじめ公表する課題の
建築物についての設計図書の作成
設計製図1課題6時間30分


▽一級建築士の難易度
一級建築士の合格率は10%台で、難易度が非常に高い試験だと言えるでしょう。建築技術普及センター統計データによると、H25年~H29年までの学科の平均合格率は18.08%で、設計製図は40.36%となっています。


設計製図の試験は、試験日の約3ヶ月前に試験課題が公表されるので、対策のしやすさなどから合格率が高くなっていると考えられます。とはいえ、平均合格率10%台の学科試験をパスしないと設計製図の試験は受験できません。ですから、今回初めて一級建築士の試験を受験する方は、まずは学科試験の合格することに注力するのが良いでしょう。


※一級建築士の難易度や合格率についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にして下さい。
【一級建築士の難易度・合格率】受験者の9割が落ちる試験の裏側

 

6.受験申し込み方法は早めに確認しておきましょう!

一級建築士の受験費用は下記の通りです。(2018年度時点)
◇一級建築士 受験費用 : 19,700円


【受験の申込書の取得方法】

受験申込書を入手する方法は『郵送によって入手する方法』と『受付窓口で入手する方法』の2パターンがあります。


==郵送によって入手する場合==

まず建築技術普及センターのHPの一級建築士試験『郵送による受験申込書の配布』のページにアクセスしましょう。そのページ内に受験申込書の請求受付フォームがあるので、手順に沿って申請します。受験申込書の郵送費用については請求者の負担となります。詳細は建築技術教育普及センターのHPでご確認ください。


==受付窓口によって入手する場合==

受験申込書は建築技術教育普及センターの各支社の窓口でも入手することが出来ます。配布場所に関しては、建築技術教育普及センターのHPの『受付窓口における受験申込書の配布』のページで確認できます。


上記2パターンの申請方法の他、インターネットによる受験申し込みの方法もあります。ただし、一級建築士の試験をはじめて受験する方は、インターネットによる申し込みは出来ませんのでご注意ください。詳しい申請方法については建築技術教育普及センターのHPの『インターネットによる受付の申込手順と注意事項』のページでご確認ください。


【受験申し込みを行う際に必要な書類】

必ず用意するものとして、(1)受験申込書(2)振替払受付証明書(3)写真2枚が必要です。その他、受験経験や受験資格区分によって提出書類が異なるので、建築技術教育普及センターのHP等で随時ご確認ください。


【一級建築士 試験会場の確認方法】

一級建築士の試験会場は、建築技術教育普及センターのHP『一級建築士試験会場』のページで確認できます。「学科の試験」、「設計製図の試験」ごとに試験会場が表記されていますので、随時ご確認ください。


一級建築士の受験資格についてご不明な点や最新情報を確認したい場合は、試験を運営している建築技術教育普及センターもしくは各都道府県建築士会にお問い合わせ下さい。


【問い合わせ先】
建築技術教育普及センター 本部

TEL03-6261-3310

公益財団法人 建築技術教育普及センター本部・各支部

各都道府県建築士会



まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。今回は一級建築士の受験資格についてお伝えしてきました。
この記事で読んだ情報が、これから一級建築士の試験を受けようと思っている方のお役に立てば嬉しいです。



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